恨んでいます
「いじめたことを覚えていない彼らを、何もしてくれなかった先生や学校を、何よりもいじめに対し無関心な社会を恨んでいます」
ある日掛かってきた電話でそう話した40~50代と思しき男性。
子供のころにいじめられたことが原因で今でも精神薬を飲み、これまでに様々なセラピーを受けてきました。
外国でドルフィン・セラピーも体験したけれど心の傷は癒されていないそうです。
数年前に同窓会があり、いじめた人たちに勇気を出して話をしたところ「そんなことあったっけ?本当ならごめんな」と軽く言われたそうです。
男性は、きっと彼らもいじめのことを覚えていて、そのことで心を痛めていると思っていたのにまるきり覚えていない。
自分の話が作り話であるかのように「本当なら」と言う。
そしてその後も同窓会を楽しんでいる彼らを見て、なぜ自分だけがこんなに苦しい思いをしなくてはいけないのか。
自分は何年も忘れられずに苦しんでいるのに、どうして彼らは自分のしたことを忘れて生きているのか。
そう考えるとやりきれない。
それもこれもいじめを放っている社会が悪い。
自分は絶対に許さない。恨み続けます。
一気にそう話すと電話が切られました。
その後彼から電話が掛かってくることはありません。
今でも許さないことに苦しみながら、彼らを社会を恨みながら暮らしているのでしょうか。
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心の対話室うちゆい
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